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「人のセックスを笑うな」山崎ナオコーラ   

「人のセックスを笑うな」山崎ナオコーラ _a0060532_043236.jpg
ずっと沈黙を続けていたくせに連続投稿です。
しかもまた悲しい本です。
 
山崎ナオコーラという人について何かで読んで
実をいうととても気になっていたのですが
なにせこのタイトル。
ずっと手に取る気になれないでいました。
 
遅めのランチの後で本屋さんに行くとこの本が文庫化されていて
帯に「39歳と19歳の純度100%の恋愛小説」とか書いてあって
思わず手に取ってしまいました。
 
すごく文字がすかすかしていて
オレンジ色ですごいタイトルで
作者の名前もすごくふざけていて
普段なら絶対手に取らない本なのに
なんだかするすると読めてしまい、
その後、図書館へ行って借りました。
(買わなかった…)
 
松山ケンイチと永作博美で映画化されているとのこと。
(松山ケンイチがどんな子かも知らない…)
このごろ鏡の中の自分がすごく老けて見えることがあって
(いえ、年相応になのですが)
この「純度100%」とかいう
ベタベタなコピーに惹かれたのかも知れません。

多分、当たり前のことなのだけれど、
自分の半分くらいの年の人にでも
人として魅力を感じるものなのだなぁ、
などということをこの頃よく考えていたので、
手に取ったのかも知れません。
 
本の感想としては
予想外に良かったです。
本を読むのが遅いわたしが
1時間かそこらで読んでしまえる本でしたが
なんだかいい感じでした。
 
淡々とストーリーが語られて
特に山場もなくて
でも39歳のユリが
若々しくなく小綺麗でもなく
それでいてかわいいところが
なんだか良かったのかも知れません。
 
わたしの感想ではいいのか悪かったのか
さっぱり分かりませんね。
わたしも書き込んでいて分からなくなってきました。
気に入ったけれどやっぱり本は買わないと思うし…。
 
積読も片づけなければ。年賀状も作らなければ。
年末ってなんだか気がせいてしまうけれど、
寒くてもあたたかい場所のある冬でありますように。
 

# by momo-iruka | 2007-12-10 00:04 | 純文学

「悲しい本」ローゼン作 ブレイク絵   

「悲しい本」ローゼン作 ブレイク絵_a0060532_23551368.jpg
休日、ときどき思い出したように児童書の専門店に行きます。
「からすの本屋」というお店の名前も魅力的でしょう?
 
今日は別の本を買いに行ったのだけれど売り切れで
他の本をなんとなく眺めているときに見つけたのでした。
 
「あ、これ、ブックレビューで紹介されてたやつだ」
とわたしが見ていると夫が横からのぞいてきて、
「こ、これ!この絵はいい!」
と中も見ずに即決で購入しました。
 
テレビで紹介されていたとおり、
「最初から最後まで悲しい」
内容でした。
 
でも、本当に絵もいいし、
なんかいいんです。
最後まで悲しいのに!
 
今日はいい本と出逢いました。
 
「ろうそくがなくてはね」と言いながら
固形燃料を買うのを忘れて
ろうそくでチーズフォンデュをすることさえ
楽しくしてくれる不思議な本でした。
  

# by momo-iruka | 2007-12-09 23:56 | 絵本

「西遊記(上)」平岩弓枝   

(下)を読み終わるのがいつになるのか不安なので
ともかく今の感想を書き込みます。
 
この本もミイラの本と一緒に
職場の本に詳しい人から勧められて借りました。
 
たいして期待していなかったのですが
これがなかなか!
 
次々と現れる妖怪たちが
不老不死の命を手に入れるために
三蔵法師を食べようとしてさらい、
それを孫悟空たちが助ける…
というお決まりのパターンも楽しい。
 
けれど、わたしの琴線に触れたのは、
三蔵が孫悟空たちの「師」として悩む場面です。
徳を積んだ高名な僧でありながら
「師」としては完璧ではなく、
失敗したり後悔したり自分を責めたりします。
それを菩薩様(か誰か仏関係者)は
「師と弟子は共に成長していくものなのです。」
と三蔵をいさめるのです。
教えることを仕事にしている人たちの共感を呼ぶ作品だと思いました。
 
それにこの西遊記の孫悟空はとてもかわいいのです。
表紙の絵もかわいいし、本当にカワイイ奴なのです。
きかん気だけれどすごく情に厚く、
素直でお茶目でやさしく、
だんだんに成長していく姿に惹かれました。
 
帯の「俺はどんなことがあってもお師匠さまと天竺に行きたいよ」
という台詞を言うシーンは、本当に泣けました。
 
妖怪たちもそれぞれの事情をかかえていて
わくわくして読めます。
 
文章も美しく、勧善懲悪で、ハッピーエンドで、
ちょっと泣けて、少し心洗われて、
少し疲れているときにオススメの一冊です。
 
(下)を読み終えたらまた、書き込みたいと思います。
が、いつになることやら…。
  「西遊記(上)」平岩弓枝_a0060532_22422048.jpg

# by momo-iruka | 2007-09-26 22:32 | ファンタジー

「天と地の守り人」上橋菜穂子   

三部作、読み終えました。
夏休みも最終日、ギリギリのタイミングでした。
今年の夏休みは家人がずっと仕事をしていたので
2、3度でかけた他はずっとおうちにいました。
わたしはどこかへ出かける休日よりも
おうちでじっとして本を読んでいる方が
ずっと好きなので、幸せな休日でした。
 
なんだかどっぷりと疲れているような
気がします。
この三部作はずっと重苦しく
暗い未来を予感させる戦争が続き
生々しい怪我や死の場面もあり
読むのにやや体力を要しました。
幸い、時間と体力はあったので、
無事に読み終えることができました。
 
ラストはほのぼのとした平和なシーンでしたが
何もかもが丸く収まる大団円とは違い、
失ったもの、変わってしまったものを
きっちり実感できるストーリーでした。
 
何度か上橋菜穂子さんの講演を聴きましたが
作者が書きたかったのは
こういう作品なんだろうなと
読み終えて改めて胸が熱くなります。
 
ファンタジーだからといって
ふわふわした夢物語ではなく
風や草や血や水の匂いが濃く立ちこめて
その世界に連れ去ってくれるような物語。
現実感を持って浸れる世界。
疲れたけれど妙に達成感のある
読後感です。
 
「精霊の守り人」からちょうど十年目に
この「天と地の守り人」で完結しました。
しかもちょうど十冊目。
 
光が見えなくなったときにであった
守り人シリーズ。
再び光を見つけられたのも
この作品のおかげだと思っています。
読み続けて本当によかった。
 
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A9%E3%81%A8%E5%9C%B0%E3%81%AE%E5%AE%88%E3%82%8A%E4%BA%BA%E3%80%88%E7%AC%AC1%E9%83%A8%E3%80%89-%E5%81%95%E6%88%90%E7%A4%BE%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89-%E4%B8%8A%E6%A9%8B-%E8%8F%9C%E7%A9%82%E5%AD%90/dp/4035403202/ref=sr_1_14/249-9095286-9261125?ie=UTF8&s=books&qid=1187243736&sr=8-14 

# by momo-iruka | 2007-08-16 15:00 | ファンタジー

「NHKスペシャル 失われた文明 アンデスミイラ」   

「なぜ、ミイラ…。」
と思われた方が多いでしょう。

「テレビは観たけど、本まで読む?」
という方もいるでしょう。
 
わたしがそう思っていました。
これはわたしが選んだ本ではなく、
職場の本に詳しい方に
勧められるままになんとなく借りたのでした。
 
執筆者の中に恩田陸がいたこともあり、
テレビ番組が面白かったこともあり、
たまには自分が選ばない本を読みたいと
思ったこともあり、
まぁ、そんな諸々の理由と軽い気持ちで
読み始めました。
 
DNAがなんとかとか
ミトコンドリアがどうしたとか難しい部分もあり
正直かなり読み飛ばしましたが、
意外に面白かったです。
 
特に、恩田陸の執筆部分は良かったです。
作家の文章の方が読みやすかった、
ということもあるのでしょうが、
読みながらドキドキさえしました。
 
わたしが一番ドキドキしたのは
オルメカ文明とやらのくだりでした。
なんと紀元前1200~400年ごろの
文明であるにもかかわらず、
アジア(中国?)系、アラブ系、アフリカ系など
色々な人種の人が描かれていること、
非常に洗練され、技術も高いこと、
そして何より、
石碑に刻まれた文字がなんと、
中国古代の殷や夏の文字に共通点があるということ。
なんだかすごくドキドキしませんか?
 
恩田陸は最後に、
世界の価値観がひとつのベクトルだけに
向かって走っていることへの警鐘をならしています。
 
結論をここにこうして書いちゃうことは
とても簡単だけれど、
「ミイラ」という
一見、気味の悪い文化を知ることで、
ぜんぜん違うベクトルも
かつて豊かに存在していたことを
具体的なイメージを伴って
わかりかけた気がします。
 
写真が多く、パラパラと読めるものなので、
恩田陸の章だけでも、
本屋さんで眺めてみてください。
 
普段だったら絶対に読まない本だけれど、
読んで良かったと思える本でした。
 
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%A4%E3%83%A9-NHK%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB-%E5%A4%B1%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%96%87%E6%98%8E-%E6%81%A9%E7%94%B0-%E9%99%B8/dp/4140812362/ref=sr_1_1/250-2618028-0863456?ie=UTF8&s=books&qid=1186415451&sr=1-1

# by momo-iruka | 2007-08-07 00:56 | ノンフィクション